魑魅魍魎の菊
(一体どうすりゃ良いんだよ!!)
龍星はぐったりとしている美鈴を抱えながら、穂積と御堂の中を走っていた。
グロテスクな姿をした妖怪に追われているが、あれは味方なのか敵なのかも解らない。
「…ど、どうしよう萩原くん…っ!」
「…チッ…。なんつう…面倒な!」
角の廊下を走り抜ける二人は焦っていた。自分たちはどっちに居れば良いのか、と。
「と、取りあえず!!
——四精霊を司る精霊師の名の下に!!
風の精霊・シルフ!!!」
その瞬間、穂積のブレスレットが光り出して疾風が吹き出す!
風を纏った男が現れて、腕を大きく振りかざしたのだ。
(——穂積、どうする)
(——この場から一時退却しよう)
「萩原君、美鈴ちゃんをしっかり抱いていてよ!」
そして、風により二人の体は浮き上がって遥か上空にまで行く!
奇妙な浮遊感に襲われるが、それどころじゃない。
「あ"ぁあああ!!て、テメェ加藤?!」
上空に漂う加藤を発見したのだった。