魑魅魍魎の菊







——ダァアアアンッ!!



力任せに開いた襖が少しだけ外れた。その音にビクリと体を震わす大槻を始めとしたこの地の神々達。




(白黒はっきりつけようじゃないか)




私の愛した家族は本当に"あの優しい"神が闇に葬ったのか。それは憎しみなのか、優しさなのか、






——愛なのか。


私は狂ってしまったかのように、足を進め。着物の乱れなど気にせずにはいられなかった。




「…る、瑠璃丸…?どうしたの?」

大槻は困ったように声を掛ける。あまりにもその様子が荒々しく、普段の男前で優しい姿など見受けられなかった。大槻の背後に居たあの白い蛇もか弱く鳴くのだ。



「そうですぞ瑠璃丸。そのような怖い顔をして」

顎髭を生やした男が胡散臭そうに言う。だが、もう私には全て嘘のようにしか聞こえないのですよ。

愚かだと思うなら思いなさい。それでも「真実」を知りたかったのです。








「——今まで、馬鹿にしていたのか」




「…えっ…?」



空色の瞳は大きく揺れるばかり。

 
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