魑魅魍魎の菊
*
——ダァアアアンッ!!
力任せに開いた襖が少しだけ外れた。その音にビクリと体を震わす大槻を始めとしたこの地の神々達。
(白黒はっきりつけようじゃないか)
私の愛した家族は本当に"あの優しい"神が闇に葬ったのか。それは憎しみなのか、優しさなのか、
——愛なのか。
私は狂ってしまったかのように、足を進め。着物の乱れなど気にせずにはいられなかった。
「…る、瑠璃丸…?どうしたの?」
大槻は困ったように声を掛ける。あまりにもその様子が荒々しく、普段の男前で優しい姿など見受けられなかった。大槻の背後に居たあの白い蛇もか弱く鳴くのだ。
「そうですぞ瑠璃丸。そのような怖い顔をして」
顎髭を生やした男が胡散臭そうに言う。だが、もう私には全て嘘のようにしか聞こえないのですよ。
愚かだと思うなら思いなさい。それでも「真実」を知りたかったのです。
「——今まで、馬鹿にしていたのか」
「…えっ…?」
空色の瞳は大きく揺れるばかり。