魑魅魍魎の菊
*
この小さな胸に大きな"影"を閉じ込めてしまった私——
「ぐっぁ——あ"あぁ……や、やめろ…」
人生の八割はハプニングで出来ている。一体何が起こるのか神さえも知らない、この月光だって神様が止められることができない。
だったら、その八割は"私"じゃなくても——他の誰かにも該当するんだ。
「友人が苦しんでいるのに、よくもまあ…
——笑顔でお酒を飲んでいらっしゃるのね、毘沙門天殿」
苦笑しながら毘沙門天を見れば、一升瓶を一気飲みしてるよ。何なのよあの酒豪、私だって早く家に帰ってドラマ見たいわよ!!
「ガーハッハッハ!自然の摂理にはわしは逆らえんでのう!何じゃ御主、世に珍しい《影使い》のもんじゃったんだな?これ愉快じゃ、ガーハッハッハ!」
《影使い》
その単語を聞いたスザクは体をビクっと震わしながら、恨めしそうに菊花を見つめた。
「どうぞご質問を」
スザクは空中に浮かんでおり、息が出来ないような荒い声を上げている。
その姿を街灯と月光で照らされている。
その影を見れば、スザクは手足を《なにか》に捕らえられており、首を絞められている状態にいた。