魑魅魍魎の菊
「菊花ちゃん、ダメだっ——」
夜行ことやっちの声がぼんやりと聞こえたが、私は覚悟をしてしまったのだ。
死に際を美しくしたいだなんて思わない。
せめて生き様だけでも美しくいたかった——
「我が名は高村菊花、《影を統べる》者である!百鬼夜行の頭であり、魑魅魍魎の主でもある、ただのしがない女子高生だ!!」
赤い札から炎が溢れ、菊花の着物に着火する。
「——玖珂正影の名の元にこの者を滅したまえ!!!!」
あぁ、これで私は滅されて…消えてしまうんだ。
焼け焦がれながら死に行くなんて、なんて情けないんだろうか。
「地獄に咲く、一輪の花とはなれ——」
地獄などに花は咲かないよ、玖珂の若頭…。
自嘲の笑みを零す菊花。体がもう動かない、震えもしない。
熱い、熱い…熱……
———ん、んぅ?
「熱くないんだけどォォォ??!!」