魑魅魍魎の菊



「はぁ?!何で燃えて徐々に火が消えているんだよ!」

「そ、そんなの私が聞きたいわよ!!」



菊花は思わず立ち上がってしまった。


(アレェ——?!思いっきり動けているし!!)

(しかも札が消えてるし!)


玖珂の者は口をポカンと開け、菊花もパニックに陥って着物に触るが熱くもなんともない。


「な、何故俺の赤札で滅されないんだ?!前代未聞だぞこの地味女!」

正影は思わず菊花の胸ぐらを掴むが菊花だって黙っちゃいない。

「私だって何も知らないし、何もしていないわよ!!」

菊花も負けじと右手で綺麗な赤い着物を掴むんで喧嘩腰になる。

「だった何で滅されないんだ?!セリフ決めた俺が超格好悪いだろうが!」

「それはこっちのセリフだってば!!アンタに滅される覚悟でタンカ切って、思わずちょっと格好良いこと言った私の方が超絶格好悪いし!!」



(ヒヒ〜ンっ…)

(お、お馬さん……大変だね、)

(…ヒ〜ン)



喧嘩なのか自虐対決なのか不明な戦いに仲裁を入れたのは「夜行」だった。

呆れたように二人を殴って距離を取らせたのだ。



「二人共冷静になって俺の話を聞く」



細やかに笑う笑顔の重圧に耐えれなかった二人だった。


 
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