魑魅魍魎の菊



「…ていうか、おめー誰だ」

「俺?あらっ、俺のこと知らないんだ。名を《夜行》。やっちって呼ばれてまーす」


《夜行さん》

大晦日、節分、庚申の日、夜行日に来世から現世へと現れ、首切れ馬に乗って徘徊する鬼。

遭遇してしまった人は投げ飛ばされたり、馬の足で蹴り飛ばされたりしてしまうらしい…


色々と云われがあるがそれは本人に確かめないと解らない。俺だって今まで噂でしか聞いた事がないから…本物を見るのは始めてだ。



「で、このグロテスクな外見をしているのが《首切れ馬のジェイソン》ね」

「何でそんな《13日の金曜日》な名前なんだよ…。誰だそいつの名付け親、ネーミングセンスを疑うぞ」

「悪かったわね私よ!!」



蔑むような視線が菊花に突き刺さるがスルーしよう。



「最初に言っておくけど、俺は情報屋だからどちら側についているとかないからね」

"情報屋"?

「で、菊花ちゃんが滅されない理由はスルーするけど。まずその《鏡の付喪神》ちゃんのことを片付けないとねー」




"片付ける"


その単語に強く反応した正影は刀をまた抜刀するが、夜行が「ちょっと勘違いしないでよ」と正影を制するのだ。




「全く今日日の人間の子供はすぐキレる。あーやだやだ!」

「テメェ、今から滅するぞコノヤロー」

「ほらそうやって実力行使で来るところが傲慢、傍若無人。そんな事言うと、本当にあの子、







——滅しちゃうよ?」



氷のような笑いだ。それが相応しい。

鏡子がビクっと体を震わすが白がギュっと手を握って上げているから大丈夫か。


 
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