魑魅魍魎の菊
「だったら肯定しろって言うのかよ?!コイツは俺達の家族なんだ!」
「別に肯定しろだなんて言っていないでしょう?来世のやっちや他の妖怪が貴方を殺すべきではない、良い方向に未来に役立つ人間だから生かすと決断したの」
「ンなの偏見だろ?!俺はそんな事してまで鏡子を失おうだなんて思わないねぇよ!!」
あまりにも満月が妖しく光るのでここで俺は壊れるんじゃないかって疑った。早く、誰か玖珂の者来てくれよ…。
押さえきれないこの気持ちが溢れそうで恐いんだ。
「——他の妖怪も未来に大罪を犯したから、菊花ちゃんが滅したんだ。玖珂の若頭、君は生きなくちゃいけない存在なんだ」
血の気が引いた。
みんな、みんなみんな、
——俺の為に死んだのか?殺されたのか?
「そんなのテメェ等の身勝手だろうが!!未来なんて誰にも解らねぇんだよ!そんな未知なモノに畏れて俺は守られているのか?!俺はそんな大層な存在じゃない!だったら俺は——」
「馬鹿言わないで、甘いことばっかり言うんじゃなわよ!」
菊花は頬の腫れの痛みに耐えながら口を開く。血の味がなんだ、悪が正義がなんだよ。