とおりゃんせ2~日村令子の場合~
「ナルゴさん!いつものアレやってよ!
あの…体がズルッてなるヤツ!!
アレでその人やっつけちゃってよ!!」
後ろで騒ぎ立てる子供たちの代わりに
男の子は勇気を振り絞って叫んだようだ
『体が…ズルッ…?
あぁ…アレね・・・』
そう思った瞬間 由里は
ガタガタと自分の身体が震え出したのを覚えた
しがみついている男の子が震えているせいではない
自分の身に起きた『真実』を思い出し
震え出していたのだ
ブルブルと震える右手を
恐る恐る自分の左手首に触れさせてみた
由里の左手首はまぎれもなく
失われていた
「・・や・・やっぱり・・・」
由里は全身の力が抜けていく中
いま自分がどうやって立っているのか分からなかった
というよりは知りたくなかった
ただ
もう立っているのがたまらなく辛かった
もしまだ自分の上半身が下半身と繋がっているのなら
素直にガクッと地面に膝をつくべきか
思考を行ったり来たりさせていた
「わたし・・・これから どうなるの・・」
次に由里が心配したのはその事だった