とおりゃんせ2~日村令子の場合~
「・・あんた・・まさか・・・

親に・・・石・・くくりつけられたの…?」


男の子は泣きながら 静かに頷いた


由里は『流された』という言葉を使えないでいた

確かに石を子供の身体にくくりつけて川に流した訳ではなかった

しかし

違う方法で子供の『命』を流した事に代わりはなかった


「もしかして・・・ここに居る子供って・・・」


「そうよ ここに居る子供たちは皆

親によって その命を絶たれた子供

または 親の愛を知らずに

幼くして亡くなった子供たちよ

昔は 間引きと言ってね

一家の生活を守るために

生まれたばかりの子供や

手のかかる時期の幼い子供を

手に掛けていた時代もあるの」


令子が説明した


その時


今までずっと黙っていたコートの男が

突然

深く被っていた帽子とそのコートを

一瞬にして脱ぎ捨てた



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