とおりゃんせ2~日村令子の場合~
「摩訶般若波羅密多心経・・・・」
令子が読み出したのは何かのお経だった
そのお経を読み始めた途端
後ろでパニックになっていた子供たちは 突然騒ぐのをやめ そのお経に耳を傾けだした
ナルゴという男性は
「チッッ」
というと サッとその場を離れどこかへ消えてしまった
「観自在菩薩行深般若波羅密多時
照見五温皆空度一切苦厄舎利子
色不異空空不異色色即是空・・・」
由里は令子と後方の子供を交互に見比べていた
令子が淡々とお経を読み進めて行く中
子供たちは1人1人・・・
恐らく…亡くなった時の状況をその身体で再現しているようだった
ある子供は山の中でカマを胸に突き刺した状態だった
別の子供は 誰かに拾ってもらうのを親が期待して生きたまま放置されている間 山犬の餌食となっていた
また別の子供は 親と山へ遊びに行ったつもりがそのまま谷底へ突き落とされていた