とおりゃんせ2~日村令子の場合~

「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶 般若心経」


令子はその言葉を最後にお経を読む声を終えた

そして手にもっている数珠を ジャッッという音を立てて両手の平の間で『きる』と子供たち1人1人とそれを包んだ公園とがもっと大きな光となり全てが光りで融合したかのようだった

しかしそれは 大きな光を放つと一瞬で消えた

由里の足下の子供と小さな小さな由里の分身は 跡形もなくなくなった


ただ 公園が大きな光に包まれる瞬間に

『とおりゃんせ』のアーチを作っていた子供2人だけが

サッとおおきな蛇の姿に変わり 2匹の蛇が絡まってどこかへ去って行ったのが見えた

きっとあの2匹の蛇はナルゴという男性の使いのようなモノだったのではないかと由里は後にそう思った


「次はあなたの番ね・・・」

お経を読み終えた後の 令子の第一声はその言葉だった


「私の番・・・?私・・・帰れるんじゃないの・・・?」


「あなたの放った想いが『ホンモノ』であれば それは『真理』に届くわ

あなたが実際に人界に戻れるかどうかは 私が決める事ではないの

全ては・・・あなたの想いが・・・『真理』に届き その想いが『カタチ』を作るのよ

だから・・・あなたの言葉が本当であるかどうか・・・その結果がこれから分かるわ・・・」

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