そこから先は
        *



「また連絡がこなくなりましたな」



口ひげの刑事が言った。



二度目の電話がかかってきてからはやる気を取り戻したようで、八つ当たりや嫌みやタバコの本数まで減っていた。



「誘拐というものはこんなに時間がかかるものなんでしょうか…」



小春の父親が痩せている方の刑事に聞いた。



「いや、僕はまだあまり誘拐事件を担当していませんので詳しくはわかりません。


でも…


他の事件はたぶんもう少し短い時間で解決してるんじゃないかと思います。


今回の犯人が受け渡しを引き延ばしている意味もわかりませんし」



痩せた刑事はまだ新米のようだ。



よくみれば年も若そうである。



「やっぱり」



父親はため息混じりにつぶやいた。



若い刑事がいうように、犯人が金の受け渡しをこんなに引き延ばしている理由がわからない。



だから余計に心配なのだ。



まさか本当に小春は…
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