Tactic
俺の胸元に顔を埋めたトーコ。


いや、俺がトーコの頭を抑えつけているから無理矢理埋めさせたんだけど。


「年齢なんてさ、叶さんのグループにいりゃ関係ねぇの。ほとんどが女を経験済み。童貞なんて一人もいねぇ」

「そ…そんなの何かおかしいよ。女の人なら誰でもいいってわけ?好きな人とか……」


「俺はトーコの気持ちの方がわかんねぇ。小学5年だっけ?中一の兄貴に一目惚れしたの」

トーコの言葉を再び遮り、俺はトーコから離れポケットに手を突っ込みながら机に腰かける。


「純粋に兄貴だけを想ってんの?2年間も片想い?俺の前じゃあ強気のトーコも兄貴の前じゃあ顔を真っ赤にして会話することさえもできねぇ。そんなんで告白なんかできるわけ?」


「そ…卒業までにはするわよっ」


「兄貴鈍感だからなぁ…お前のことなんて妹みたいにしか思ってねぇよ」


俺の言葉に、トーコはうつ向き悲しい表情を見せた。


「……tactic……かけひきしねぇか?」


「かけひき?」


トーコは顔を上げ、首を傾げながら不思議そうに俺を見る。
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