Tactic
俺は大声で嘲笑う。


「何笑ってんのよ。せっかく届けてくれたのに。あんたの所為でしょ?!」


「いや?純粋すぎて笑っちまう!兄貴も…お前も。そうだ、トーコ」


目頭に溜った涙を拭いながら、俺はトーコの腕を掴み耳元に唇を近付けた。


「放課後……話がある。どうせいつも兄貴の部活見て帰るんだろ?今日は俺の為に……残ってて?」


言い放つと、不思議そうにトーコは俺を見つめた。


目があった俺とトーコ。


俺はもう一度、計算高い笑顔をトーコに与えた。
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