Tactic
兄貴は中学のラグビー部に所属し、俺はというと帰宅部で……。


トーコは今年できたばかりの水泳部へと入っていた。


夏休み明けの新学期の部活は忙しさを増していく。


だが、トーコは兄貴の引退前だからと水泳部を休みラグビー部の練習ばかり見る始末。


放課後の教室で、俺は机に腰掛けながらトーコを待つ。


時を刻む秒針の音、運動場から聞こえる威勢のいい声。


未だ残る8月の暑さの余韻なのか――制服の白いカッターシャツが肌にまとわりついた。

嫌気がさし、うつ向いたままそれを手で剥がす。


そんなとき、教室のドアがゆっくりと開いた。
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