嘘と嘘で始まる
「なぁ実菜。本当の事だけ教えて欲しいんだけど」

「な…何?」

「彼氏からもらった指輪どうして外したの?」

「……」

「大学時代からの大切な彼氏だろ?なんで指輪つけてないんだ?」

右からの真っ直ぐな視線を見る事ができずに両手に収まっているコーヒーカップをぼんやり見つめる。

指輪か…慎也を好きって気付いた一年前にはもう、私の指から消えている。
慎也への気持ちに蓋をして、彼氏との付き合いを続けていくのが辛くて、かといって彼女のいる慎也に想いは告げられず、指に光るシルバーリングを見る事ができなくて…。

「…他に好きな人ができて、外したの」

感情をこめないよう、淡々と言ったつもり。でも、少し震えてしまった事を慎也は気付いた…?
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