嘘と嘘で始まる
寝室は8畳ほどの洋室で、ベランダに出る窓の側にセミダブルのベッドを置いている。
私の好きなクローバー柄の薄い緑のベッドカバーが、この部屋の印象のほとんど。

私を抱き上げたまま部屋に入った慎也は、ベッドを見て一瞬立ち止まると視線はそのままに

「ベッド、変えた?」

「あ…うん。前より大きくて贅沢でしょ」

「ふ~ん」

何の感情も読み取れない慎也の声に少しドキドキする。

前使っていたベッドを覚えていたんだ。

前のベッドは、奏と別れてすぐに処分した。学生時代から付き合っていた奏との思い出がつまっていて、一人で寝ていてもその思い出が邪魔をして眠れなくなった。
それに、もうその頃は慎也の事が好きになっていて、奏と愛し合ったベッドに寝るのは、慎也への裏切りのような、勝手な思いやらがあって、いまでは私しか眠った事のないベッドを使っている。
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