嘘と嘘で始まる
慎也はおもむろに、ドレッサーの一番上の引きだしを開けると、中から薄い紫のベルベットの小箱を取り出した。

「あ、それは見ちゃやだ」

思わず取り返そうと手を伸ばしても、慎也は手を上に上げて、届かない。

「返して。それ見ちゃいやだ」

「なんで?別れた彼からもらった指輪だろ?今更なんでいるんだよ」

真剣な声に、どきっとする。

「まだ、未練があるから大切にしまってるのか?」

慎也は、持っていた小箱を私の目の前に差し出す。

「実菜が、この指輪をまたはめたいなら、今はめて」

え?

「今日が、奏介さんと約束した半年最後の日だろ?」

なんで……知ってるの?

私の疑問を理解したように頷くと、慎也は大きく息を吐き出した。

「全部奏介さんに聞いたんだよ。そして、その半年間は、実菜に俺の気持ちは伝えない約束もしたんだよ」

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