‡俺様の定義‡


「そんなこと知ってるよ!
棗は人間だもの!」

「じゃあなんで棗が欲しいなんて言うの!!
棗は人なんだよ??
生きているの。だから誰のものとかじゃなくて棗の感情で棗は動いてる!!
だから誰と付き合うかなんて棗が決めるのよ!!」

「おねがい…そんなことはもうとっくに気付いているけど…
一度だけでいいの…見ていることしかできなかった棗と一度でいい…
手をつないだりいちゃいちゃしたりしたいのよ…
由香さん…一日だけ棗と二人っきりにさせて…」

「港??
お前どうしたんだよ??今日変だぞ??」

「いや!!港って呼ばないで!!
ウチは渚よ!!」

「お前は港だろ??」

「港はとても醜いの…でも渚は違うわ…
せめて死ぬまでの短いわずかな時間を渚で過ごしたいの…
ウチが死んだら本物の渚が星鈴に通うんだから…」

「お前何言ってんの??
何??最初からあきらめてるわけ??
医者に言われたからなんだよ…それよりも長く生きてやるとか思わないわけ??」


「もう無理なんだよ…
ウチは生きれない…生きる希望さえ失ってしまったの…
望さえもウチには残されていない…」

「なんだよそれ…
何がなくなったんだよ…」

「棗………」

「はっ??」

「なくなったのは棗…失ったのは棗…
全部棗…棗が…」





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