しなやかな腕の祈り
スウェットに着替えてベッドに転げると
なぜか分かりきった事を色々思い返してきた。



一番新しい分かりきった
確かな記憶は、啓太と別れた事。
二年という長すぎる歳月に『さよなら』した事。

本当にこれで良かったのかは
まだ頭の中で小さいけれど
真っ黒な靄になって蠢いていた。


別れなければ、もっと啓太と楽しい時間を
二人で過ごせたかも知れない。


舞台に…いや、フラメンコに
あたしの人生全てをかけたいなんて
あたしの勝手にしか過ぎなかったのかも。




でも、それでも。
別れを切り出したのはあたしで
啓太は相槌を打ったんだ。


これで良かった。
これで良かったんだから。


啓太にはもっと別に似合った人がいる。


あたしはこれから、フラメンコ頑張って
お母さんみたいにプロになって
それで適当に隆弘と楽しく遊んで…





そこまで考えて、あたしはハッとした。




啓太との事を考えていたのに
何でそこに隆弘が入ってくるんだろう…





「違う違う!!もう!違う!!!」







余計な事に気が付いて、知らない内に顔が熱くなっていた。

啓太しか男をしらないに近いあたしは
隆弘がまた違う生き物に思えて
勝手に恥ずかしくなってしまったのだと
思い込む事にした。
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