しなやかな腕の祈り
だけど、そんな時ほど余計な事象は起きるもので
突然携帯が鳴りだした。





『着信 隆弘』








画面に表示された名前に
目が釘付けになった。



「何ぃ」



あたしは敢えて眠たそうに演技した。



『ゴメン、寝てたか』

「別にええよ。
ウトウトしとっただけやし」

『そうか』



そんな会話で始まって
二時間近く電話で話した。
仕事を辞めてから、隆弘は大型トラックの
免許を取りに通っていて
今はトラックの運ちゃんをしているらしい。



絵里ちゃんが入籍して
もう松阪にいないことも知っていた。



少し会わない間に隆弘は変わっていた。
それは話し方にも滲み出ていて
前のようなチャラチャラしたのが無くなっていた。



『そうや多嘉穂、お前今日の夜とか
暇やないの????』

「暇やでぇ-何もする事ないよ」

『じゃあ会うべ』



驚いた。隆弘があたしを遊びに誘っている。



「ええよ別に。
適当な時間に電話して」



そう言ってあたしたちは電話を切った。

それと同時に、突如として睡魔があたしを襲った。



そして知らない間に眠ってしまっていた。
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