しなやかな腕の祈り
それが無性に嬉しくて
よちよち歩きながらも
一生懸命あたしは坂道を登る。



すると不意に体が浮いて
間近くに男の人の顔がある。



『お帰り、龍ちゃん』



お母さんのがパッと華やぐ。



『ただいま』



夢の中のお父さんは、真っ赤な繋ぎの作業服を着ていた。



そして、ハッキリ顔が見えた。



大きな目、薄い唇。


あたしとまるで、同じ顔。




あたしを抱いたまま、お父さんはお母さんに寄っていき
あたしを混ぜて三人…
幸せそうに笑っている。




その時、あたしは目にした。
お母さんの腹が大きい。
妊娠後期に入っているかのように
お母さんの腹が大きい。
お父さんもあたしを抱いている方と
反対の手で優しくその腹を撫でている。



『多嘉穂、お姉ちゃんやからな』



お父さんは低い穏やかな声でそう言った。






そしてそこで夢は途切れた…
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