しなやかな腕の祈り
一通りの準備をすませて
あたしは自分から隆弘に電話をかけた。

一階では秀一叔父さんが
正月番組を見ながら酒を飲んで
いい感じに出来上がって騒いでる。


ただ今年の正月で違う事は
お母さんと連絡が取れていること
啓太がいないこと。


この二つだ。




呼び出し音は短く鳴って
隆弘の声が聞こえた。



『おう、今から行くわ』



隆弘の家からあたしの家までは
車で15分掛かるか掛からないからしい。


"家の前に着いたら電話する"と
言って、電話を切っていった。



その時、あたしの頭に
ふとした不安がよぎった。




もし、啓太に見られたらどうしよう…






別れたんだし、別に何も気にしなくてもいいように思う。

だけど…あたしはフラメンコに
集中したいからって理由で
啓太に別れを切り出している。





しかも何時間か前。





家が近い事を忘れて、家の前まで来いなど
偉そうな事を言ってしまった事に気付いて
また携帯を握った。



それと同時に鳴り響いた着信音。
お母さんからの電話だった。
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