しなやかな腕の祈り
目を覚ますと昼前だった。14時には啓太とも会う約束があるし、急いで用意をしに一階へ降りて行った。

職場に電話して、復帰する日を決めてから本格的に用意に取りかかる。

化粧だけで莫大な時間を取るあたしは、大体迷惑がられる。

だけど、この馬鹿デカい目を綺麗に飾るのが楽しい。

憎いけど、この目はお父さん譲りだと叔父さんに聞かされてきた。

本当にデカい目。

スペインでお父さんの写真を見た時、自分でも驚いた程だったのだから。

化粧が終われば、髪を盛る。トップから綺麗に巻けると、大体その日はいい日。

あたしの化粧とセットだけで、待ち合わせまでの時間なんて楽に稼げる。

啓太用の服に着替えて、家を出た。

あたしの愛車、170系MAJESTA。ちなみに白。車高はベタベタ。内装も張り替えてVIP使用。

お母さん達があたしくらいの年齢の時に流行った車を、流行っていたいじり方にして乗っている。

めちゃくちゃ維持は大変だけど。

かっこいいから、好き。

女が綺麗になるために掛ける金だと思ってつぎ込んだ。
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