しなやかな腕の祈り
思わず笑ってしまった。
あたしと隆弘??絶対無い組み合わせだ。



「パス」



あたしのその言葉を聞いて、絵里ちゃんは笑った。



「美男美女でいいと思うけど」



美女は絵里ちゃんだと思うし。



その言葉は敢えて言わなかった。
言いたくなかった。




何でか…嬉しかったから。





隆弘が彼氏なら楽しいだろう。
毎日くだらない事でふざけあって
仕事も今以上にやる気も出るだろうし。


啓太みたいに、無愛想じゃないし。

隆弘が彼氏なら…

お母さんに会わせても大丈夫だろうなんて考えてしまった。



「絵里ね、結婚すんだよね」



それはあまりに突然な暴露話だった。



「嘘!!!誰と??」



ははは、と笑って"彼氏に決まってんじゃん"と言った。



「絵里ちゃん彼氏いたんだね」

「うん、実は。」



しばらくの沈黙の後、あたしはようやく"おめでとう"を言えた。



「そのこと、隆弘に言っちゃったし。」



隆弘崩壊の意味が分かった。

やけ酒なんだ……



「可哀想な事しちゃったさ。
隆弘には………」
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