しなやかな腕の祈り
物思いにふける横顔と、やけ酒を煽って壊れている姿を
何度も何度も見比べた。





隆弘の長い片思い終焉の夜
隆弘は完璧に壊れていた。







日付が変わってすぐ、隆弘の失恋パーティーは終わった。



「ほら、しっかり歩きな!!」

「気持ち悪…」

「知らんわ!!!馬鹿みたいに
飲んで暴れたアンタが悪いんだ」



あたしは隆弘と肩を組んで、駅裏の繁華街を歩かされていた。

駐車場がとんでもなく遠く思う。

その上、隆弘を送っていかなければいけない真実が
あたしが帰宅するのを強く阻んでいた。



「俺ぇ…絵里ちゃん諦めるねん」



駐車場のすぐ近くまで来たとき、隆弘はあたしにそう告げた。



「うん…」

「結婚しちまうんだってさぁ結婚。
俺ぁ阿呆みたいに片思いしてたのさ。
阿呆みたいに…」

「仕方ねぇや、隆弘は阿呆だもん」

「そう、俺阿呆やからな
多嘉穂ぐらいしかそうやって言ってくれやんしな。
もぉ最悪」



隆弘は座り込んで泣き出した。

あたしはその背中をさすってやる事しか出来なかった。
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