36.8℃の微熱。
 
「あ、あの。それは・・・・」

「んー? これはまだいいの」


一体、何の紙なんですか? と問いかけたところで、先生の間延びした声が割って入る。

それから、その紙を裏返し、ヒラリと教壇の前の机に置いた。

あたしを見ている目は、なんだか獲物を見つけた狼みたい・・・・。


けれど、全く状況が飲み込めないあたしは、まるで第三者のようにただ一連の流れを見ていただけ。

ギラリと鈍く光る2つの目に萎縮しているのかもしれない。


「あ・・・・の、先生?」


嫌な予感を払拭しようと、ゴクリと唾を飲み込んでから、頼りなくだけどもう一度聞いてみた。

でも、先生の返事はなく。

ただ「フフフ・・・・」と笑うだけ。


無理やり塾に連れて来られたといい、裏返された紙といい、その不敵な笑みといい・・・・。

もう、一体何なわけ!?

先生は何をしたいの!?


今度は怒りの感情が込み上げてきたあたしは、ツカツカと先生の前まで歩み寄る。

それでも先生は、怒った顔をしているだろうあたしを見て楽しんでいるようだ。
 

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