36.8℃の微熱。
 
くっそぉ〜、誰のせいでっ!

まだ息が上がっているから、その気持ちを睨みで表現する。

でも先生は、そんなの屁でもありませんって顔で涼しいまま。


どれくらいだろうか。

しばらくそんな時間が続いた。


やがて息切れも治まった頃。

先生は、さっきの紙をあたしの目の前にずいっと差し出した。


「これに江田ちゃんの名前書いてちょうだい。あと、親御さんのサインとハンコも必須ね」

「・・・・はっ?」

「江田ちゃんには、携帯を返す代わりに塾に入り直してもらう」

「・・・・はっ!?」


ど、どうしてそんな話になるの!?

塾になんて・・・・先生がいる塾になんて入ってたまるもんかっ!

せっかく地獄から抜け出せたっていうのに、これじゃあ逆戻り。


あたしには、高校生になったらやりたいことがたくさんある。

友だちと遊んだりバイトしたり恋したり・・・・キラッキラの高校生活を満喫したいの。

友だち作りは初日から失敗しちゃったけど、それはあたしの不注意だったんだけども。

でもでもでもっ!
 

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