36.8℃の微熱。
 
「・・・・話?」

「うん。昨日のこと」


いよいよ本題に入ると、メガネの奥の王子の目が少し見開かれた。

あたしは椅子ごと1歩ぶん王子に近づいて、その目を真正面からじぃーっと見つめる。

ドキドキ、ドキドキ・・・・。

緊張で心臓が早く動くけど、先生を庇うわけじゃないけど、ちゃんと言わなきゃ。


「まずはありがとう。助けてくれたり、家まで送ってくれて」

「うん」

「あと、要点ノートとか、いつもお昼休みにつき合ってくれてありがとう。すっごい感謝してる」

「うん」


よしよし、順調。ここから・・・・。

ここからあたしの気持ちを言うんだ。きっと大丈夫、王子なら分かってくれるはず。


「だけどね、浅野君。先生は浅野君が思うより悪い人じゃないの。浅野君が知らないだけで、いいとこもあるんだよ」

「・・・・」

「だからその・・・・先生のこと、あんまり悪く思わないであげてほしいなぁと思って。今日はそれを言いに来たんだ」


・・・・言えた。言えたよユカ様!

あたしだってやればできるんだ。
 

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