36.8℃の微熱。
 
嬉しさのあまり、心の中で“よっしゃー!”と盛大なガッツポーズをとるあたし。

不思議なことに、朝から感じていた気まずさもどこかへ消えて、とても清々しいした気持ち。

やっぱりあたしは頭で考えるより行動するほうが性に合っている、そう思う。


「・・・・と、それじゃあ、あたしはこれで。ごめんね浅野君。迷ったんだけど、それだけはどうしても言っておきたかったから」


そう言うと、あたしはカタンッと席を立った。

王子の優しさをムダにした・・・・そう感じる部分は多々あるけれど。

でも、それと同じくらい“先生の悪口を言っていいのはあたしだけなんだ”って気持ちもあった。


だからいい。

王子との関係がこれっきりになったとしても、それはあたしが思うように行動した結果だから。

さっきは“王子なら分かってくれるはず”なんて思ったけど、なんでもかんでも思い通りにいくわけじゃないもん。

うん、あたしはよくやった。


「・・・・ねぇ、言い逃げ?」

「へっ?」


すると、王子の手がスッとあたしに伸びて、手首をつかんだ。
 

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