36.8℃の微熱。
必死に“違う違う!”と手をバタバタさせながら訴える王子。
マリアンヌさんは“怪しいわ〜”と目を細めて、王子の体を下から上へゆっくりと注意深く見る。
そして彼・・・・いや、彼女の中で結論に達すると、スッと木刀を構えて王子との間に距離をとった。
「それを“夜這い”って言うんじゃないの? アンタ顔はいいのに頭足りない子ね。お仕置きよ!」
「いやっ・・・・!だから俺はっ!」
「問答無用!でぃやいっ!!」
バチーン!
あっ、と息を呑んだ瞬間、王子の頭に木刀が振り下ろされた。
「痛ってぇ〜・・・・」
「自業自得よ。こんな成りをしてるけど、ここでは一応、アタシが責任者であり保護者なの」
その場に頭を抱えてしゃがみ込む王子に向かって、仁王立ちでお説教をするマリアンヌさん。
いろんな意味で迫力満点だ。
「いい? 少しの間だけど、アタシは人様の家の大切なお子さんを預かってるの。あなたも含めて」
「・・・・」
「だから、親御さんにもアタシにも心配させるようなことはしないで。・・・・お願いよ」