36.8℃の微熱。
 
「あちゃ〜。これはこれは・・・・」


ここでだけは、あたしの心の決め台詞を先生に使ってあげたい。

ドンマイ、先生。


そういえば日中。

普段はあくびをしているところなんか見たことがなかった先生が、しきりに噛み殺していたっけ。

前の晩は気づかなかったけど、今ならその理由も分かるな。

マリアンヌさんだ。


「・・・・ご愁傷さまで〜す」


思わず手なんか合わせちゃう。

いやいやホント。


「あ、それより麦茶!」


一階の2人にしばらく見入っていたけど、あたしの目的は麦茶だ。

それをはたと思い出す。

眠りが浅いだろう先生を起こさないよう、轟音なるイビキの中を慎重に厨房へ向かった。


───けれど。


「誰?」

「ギョエッ!!」


冷蔵庫から麦茶の瓶を取り出そうとした瞬間、お座敷スペースから眠たそうな声がかかった。

先生が目を覚ましたらしい。


「江田ちゃんのその反応、いつも思うけどかなりヒドイよね」

「アハハ」


アナタだからですよ。
 

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