36.8℃の微熱。
・・・・とは、口が裂けたって絶対に言えやしないけど。
“ビックリ”より“先生”に反応しちゃうんだもん、変な声が出るくらい大目に見てほしい。
ていうか、あたしの反応を見て楽しんでいる節があるよね、先生。
だったら“ヒドイ”とか言わないでくれませんかね、面白がっているんでしょ? どうせ。
「で? 何してんの?」
「あぁ、ちょっと眠れなくて。麦茶飲もうかな〜と思って」
心の中でブツブツ文句を言いながら、やりかけだった作業に戻る。
コップに麦茶を注いで、氷を2つ入れて、と。よし、できた。
「江田ちゃんにもそんなときがあるんだね、意外な感じがする」
「そうですか? あたしにだってありますよ。これでも一応、悩み多き年頃ですから」
「あはっ。そうなんだ?」
「そうですよ。失礼な」
バカにしてんな、こんにゃろめ。
数学の悩みは常にだし、ほかにも王子のこととか先生のこととか。
あたしなりに悩みはあるもん。
“まだまだヒヨッコだねぇ”と言われている気がして、あたしは膨れて麦茶を飲んだ。