36.8℃の微熱。
 
あたし、そんな顔を。

王子はあたしのこと、よく見てくれているんだな。


「余計なお世話っていうかさ、茜のことになると頭より体が動くみたいだ。・・・・ごめん」

「余計だなんてそんな。嬉しかったよ、とっても。さすがに昨日みたいなのはビックリだけどね」

「怒ってる?」

「ううん。怒ってない」


怒ってないけど、ただ、なんであたしなんだろうとは思っている。

それを伝えると、王子は照れくさそうにハハッと笑った。


「入学初日のときに、宇佐美さんに携帯の番号聞かれてたじゃん。でもなくて、鞄の中身を机に丸ごと出してたでしょ」

「そんなこともあったね。バカ丸出しで、今思い出しても顔から火が出そうだけど」

「そんなことないよ。俺、それ見てピンときたんだから。この子とつき合いたい、って」

「えっ!? そうなの!?」


そんなバカな・・・・。

自分で言うと悲しくなるけど、こんなおバカとつき合いたいなんて王子がバカになるよ。


「そうだよ。一目惚れだった」

「・・・・あたしに!?」

「そう」
 

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