36.8℃の微熱。

本当のキモチ

 
それから3日が過ぎた。


海の家でお世話になりはじめてから1週間、今日の夕方には、あたしはここを離れる。

ユカ様は夏休みいっぱいマリアンヌさんにお世話になり、王子はサトルさんの代わりにまだ少し残って働くらしい。

先生は、もともとがあたしの出張講師だったから、あたしが帰るとなれば先生も帰る。

・・・・いろいろあったけど、ここで過ごす時間もあと半日だ。





最後の朝。

おはようございま〜す、と一階に下りていくと、マリアンヌさんが朝ごはんの準備をしていた。

食器や料理を並べるのを、あたしも手伝う。


「おはよう、茜ちゃん。確か今日の夕方だったわよね、帰るの」

「はい。ただお世話になるだけなっちゃって、何しに来たんだって感じですけど」

「あら、そんなことないわよ〜。にぎやかで楽しかったわ」

「そう言ってもらえると、なんだか救われます。ホント、ありがとうございました」


“うん”とにこやかに頷くマリアンヌさんにあたしも少し笑う。

朝の無精ヒゲのマリアンヌさんが見られるのもこれで最後だ。
 

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