36.8℃の微熱。
 
結婚していたり中年だったり、という先生たちの中で、バンビは唯一独身の若い男性教師。

あたしたちと歳もわりと近いし、あだ名からも分かるように、ちょっと頼りないバンビ。

そんなバンビに女子たちはここぞとばかりに不満をもらした。・・・・まぁ、からかう程度だけれども。


「高校生にもなって甘えるなっ!それと、バンビって呼ぶな!!」

「バンビかわいい〜」

「じゃあ代わりにバンビが家まで送ってよ〜。担任でしょ〜?」

「かわいくない!自力で帰れ!」


それに対して、根が真面目なのかキャラなのか、バンビはすぐに本気にするからおもしろい。

完全に女子たちの“オトモダチ”的ポジションにおさまっている。


「ねぇユカ様、今日はどうしても外せない用事がある場合、やっぱり行くべきだよねぇ?」

「ん? どういうコト?」

「あのね」

「うん」


ごにょごにょごにょ。

そんな中で、あたしはユカ様に相談を持ちかけた。

女子たちやバンビ、それに便乗して騒ぎはじめる男子たちに声をかき消されないよう、耳打ちで。
 

< 341 / 555 >

この作品をシェア

pagetop