36.8℃の微熱。
結婚していたり中年だったり、という先生たちの中で、バンビは唯一独身の若い男性教師。
あたしたちと歳もわりと近いし、あだ名からも分かるように、ちょっと頼りないバンビ。
そんなバンビに女子たちはここぞとばかりに不満をもらした。・・・・まぁ、からかう程度だけれども。
「高校生にもなって甘えるなっ!それと、バンビって呼ぶな!!」
「バンビかわいい〜」
「じゃあ代わりにバンビが家まで送ってよ〜。担任でしょ〜?」
「かわいくない!自力で帰れ!」
それに対して、根が真面目なのかキャラなのか、バンビはすぐに本気にするからおもしろい。
完全に女子たちの“オトモダチ”的ポジションにおさまっている。
「ねぇユカ様、今日はどうしても外せない用事がある場合、やっぱり行くべきだよねぇ?」
「ん? どういうコト?」
「あのね」
「うん」
ごにょごにょごにょ。
そんな中で、あたしはユカ様に相談を持ちかけた。
女子たちやバンビ、それに便乗して騒ぎはじめる男子たちに声をかき消されないよう、耳打ちで。