最後の恋はアナタの隣で
だから私はこの後からも、平気な顔で過ごせてたんだと思う。


始業式当日から再び開始されたイジメに対して、前以上に冷静でいられたんだと思う。


休み時間の度に宮沢が来るから。
お昼休みになれば宮沢が来るから。


帰りの靴箱までの距離だって宮沢が一緒に居てくれるから、私は警戒心なんて物を一切持たずに過ごせてたんだと思う。


――だから。


「……冷てぇっ……」

トイレの個室の上から水が降ってくるなんて、油断しきってた私は少しも予測出来なかったんだと思う。


パタパタと足音を鳴らし去っていく、数名の女子の笑い声。


それを聞きながら濡れた髪の毛の水分を手で絞った私は、盛大な溜息を吐き出した。


上手い具合に全身に水を浴びてしまった所為で、制服がペタリと体にくっついて気持ち悪い。
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