最後の恋はアナタの隣で
「無理してないか?」

「……してない」

「べつに怒ったりしねぇから、休みたいなら休んで、」

「春樹さん」

「うん?」

「……もう行っていい?」

「え? あ、あぁ……うん。すまん……いってらっしゃい」

「……いってきます」

淀んだ声を最後までキープし続けた私は、車の扉を開けてノロノロとそこから降りる。


……心が重い。
体まで重い。

振り返らずに後ろ手で閉める車の扉すら、重く感じてしまう。


数秒の間を空けて春樹さんが帰って行く車の音を聞きながら、心の中に「どうして?」という疑問が生まれた。


春樹さんはどうして、いつもと変わらない態度でいられるんだろう。


私と同じように罪悪感を抱いてるなら、少しくらい態度に出ても良いはずなのに……春樹さんはいつもと全く変わらない。
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