花が咲く頃にいた君と
別に親なんて居なくても生きていける。

今までだって、居て居ない様なもんだったし。


今更、寂しいなんて、ガキじゃあるまいし、笑ってしまう。


けど、あたしは今まで十夜と離れたことなんて一度も無かったんだ。


一人のなったことなんて、もっとなかった。



「ひろ…」


別に泣きはしないけど、虚しさが沸き上がる。


見渡した部屋は一人で居るにはあまりにも広く感じた。



ビー。



ハッと我に返った。



呼び鈴がなっている。


もしかしたら、初めて聞いたかもしれない。



やっぱり肩からずり下がるTシャツを戻しながら、玄関をあけた。



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