億万色Love
「………」
「………」
あれ……
どうしよう………終わり?
陽介くんはひたすら勉強している
この静けさは
早く帰れ、って言われているよう
これで終わり…?
私は何が言いたかったんだろ
何を緊張してたんだろ
陽介くんが"気にしてない"って言うんだから、もういいのかな‥
「‥あのさ」
「ん?!」
「いつまでいんの?」
「え‥」
「今取り込み中だから、用が済んだなら出てってくんない」
「あ…」
違う……
なんか違う
"ちゃんと伝えなさい"
タクシーの運転手さんが教えてくれた
謝るだけじゃダメだよね
陽介くんの優しさを無駄にしちゃったんだから
私が感謝の気持ちを返さないと
「…お前はドアの開け方も忘れたのか?」
ドアの前で立ち尽くす私に毒舌を吐く陽介くん
ガチャ…
「ほら、開いたぞ」
今までなら、バカにされて反抗してるのに
今は、この至近距離が恥ずかしいとも思える
バカにされても、
イライラしない
「ありがと、……陽介くん」
「……!」
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