億万色Love
なんとなく私も分かってた
亮が私に好意を寄せていることを、家族の人は知らない
亮に聞いたわけじゃないけど、鈍感な私でもそれぐらい分かるよ
だって
ここまで心配してくれてる両親やお姉さんたちが、まず私たちに何も聞いてこないし、言ってこない
何度か挨拶をしてるから、顔は覚えてくれてるみたいだけど
愛息子の将来を願えば、すぐさま私に怒鳴り込んでくる予定ではあった
まぁ、私の予定ね。
覚悟もあった。
そしてそれを期に、綺麗におさまればよかったんだけど
"俺の中身には一切触れないし、知ろうともしない。まぁ俺には都合のいい話だけど。みんなは俺の外身しか気にしない"
そういうことで、
こうなった全ての理由を知らない。
私たちが口出しできるほど、簡単で浅い話ではない
だから、いつも遠くからのぞき見。ってわけ
「じゃあ急ぐから先帰るわ。じゃあな」
そう言って亮は足早に廊下を歩いて行った
「さっきまで"ナナ〜♪"とか言ってた奴が、一瞬で帰っちゃうんだね…」
「いいじゃん。家族を一番に考えてて」
「でも亮っぽくないよね…」
「………?」
もう亮が見えなくなった廊下を、少し寂しそうに見つめる香留
【亮っぽくない】
その言葉が
不思議なくらい、同感できた
.