億万色Love



なんとなく私も分かってた


亮が私に好意を寄せていることを、家族の人は知らない

亮に聞いたわけじゃないけど、鈍感な私でもそれぐらい分かるよ


だって

ここまで心配してくれてる両親やお姉さんたちが、まず私たちに何も聞いてこないし、言ってこない

何度か挨拶をしてるから、顔は覚えてくれてるみたいだけど

愛息子の将来を願えば、すぐさま私に怒鳴り込んでくる予定ではあった


まぁ、私の予定ね。

覚悟もあった。


そしてそれを期に、綺麗におさまればよかったんだけど


"俺の中身には一切触れないし、知ろうともしない。まぁ俺には都合のいい話だけど。みんなは俺の外身しか気にしない"


そういうことで、

こうなった全ての理由を知らない。


私たちが口出しできるほど、簡単で浅い話ではない


だから、いつも遠くからのぞき見。ってわけ



「じゃあ急ぐから先帰るわ。じゃあな」


そう言って亮は足早に廊下を歩いて行った


「さっきまで"ナナ〜♪"とか言ってた奴が、一瞬で帰っちゃうんだね…」

「いいじゃん。家族を一番に考えてて」

「でも亮っぽくないよね…」

「………?」



もう亮が見えなくなった廊下を、少し寂しそうに見つめる香留


【亮っぽくない】


その言葉が

不思議なくらい、同感できた




.
< 148 / 179 >

この作品をシェア

pagetop