億万色Love



「まだ‥いてくれたんだ。あの、どうもありがとう…」


「まじ疲れた」


「…すいません」


なんで私が謝ってるの…?


「まぁいいけど。…帰るぞ」


「え?」


帰るぞ、って…一緒に?



「あんたの家も遠いんだろ?」


「…うん」


「だから早く帰ろうぜ」


「…うん?」


「なんだよ」


もしかして、私まで送ってくれるつもりなのかな‥


「私、南区の〇〇町だよ?」

「…なんだ近所じゃん。ちょうどいい」

「近所!?」



あの‥巨大な建物たちがそびえ立つ住宅街の近所……?


……まぁどこまで近所か分からないけど

こんな偶然…あるんだ…


タクシーの中…

なんにも会話はなく、無言状態


運転手も時間的に気分が下がってるのか、何も喋らない


そういえば、この人S大なんだよね

頭良いのかな…


良いに決まってるよね、S大だもん


私なんかがS大に行きます!って言ったらびっくりするだろうな…

自分でもびっくりだよ…


「すいません、そこのコンビニで一人降ります」



え…?


「じゃーな」

もうすぐで着くのに、男は降りてしまった


一人になった私は残りの道を揺れながら優雅に帰った


しかし


「……………」



………ちくしょ〜〜!!


あいつお金払ってないじゃん!!

結局、往復でウン万か…


まぁどっちみち、あいつがいてもいなくてもタクシーで帰るつもりだったんだけどさ……


なんか、ただ乗りされたのがムカつく…



……さいあく。




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