億万色Love



「私の料理、みんなの口に合うかしら」

「すごく美味しいですよ」

「そう?ありがとう、嬉しいわ」

母さん…

顔がちょーニヤけてるよ


恥ずかしいなぁ…もう



「女性の手料理なんて久々だから、なんか感動するな」

「奥さんが亡くなって何年経ったのかな」

「もう15年だよ」


おじさんの奥さんは今から15年前に病気で亡くなった

まだ小学生だった春人くんと陽介くんのためにも、おじさんは精一杯に家事や教育をしてきたらしい


男手一つでここまでやってこれたのは、"愛する人との我が子だから"と、幸せそうな顔でおじさんは答えた


おじさんと春人くんと陽介くんの中に奥さんはいつまでも生き続けてる


そして、おじさんは言った



"二人がいる限り、永遠に幸せを感じていられる。二人がいるそのことが、わしと妻の愛の証だから"


この話はさっき母さんが料理を作っている間におじさんから聞いたんだ


条地家に何か深いものを感じた


愛とか絆とか、私はよく知らないし興味さえなかった


真実の愛に巡り会えた人なんて本当にいるのだろうか…


そんな疑問ばっかりで、私は背を向けてた


でもここに、


その真実の愛に巡り会えた人がいた


嘘じゃなかった


愛は確かに、人を幸せにするんだ

私の心にとてつもない何かが響き、気づけば泣いていた



あぁ…

今思い出しても泣けてくるよ…



箸を片手に涙ぐむ私


完璧はいっちゃってます…




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