億万色Love


「凜ちゃん?」


香留と肩を並べ、周りをキョロキョロしていると、聞き覚えのある声に呼ばれた

「…おじさん!!」

それは、いつもとは雰囲気が違うスーツ姿のおじさんだった


「何をしてたんだ?そんなとこに突っ立って…」

「いや…ちょっと…」

「あ、もしかしてS大は初めて?」

「はい…。だから場所がどこなのか分からなくて…」

「ハハ、そうか。なら付いて来なさい。わしの部屋まで案内しよう」

「すいません…」


私と香留は、なぜか上機嫌なおじさんの後ろを付いて歩いた


まだ周りからはジロジロ見られてて、なんとも緊張してしまう…


「お友達も連れて来たのかね?」

「はい。一人じゃ不安だったんで…」

「初めてじゃあ、不安になるのも仕方ない。君、名前は?」

おじさんは笑って、香留に聞いた

「あ、あの佐倉香留です。はじめまして」

「香留さんか。はじめまして。私はここの理事長をしているんだ。」

「ナナから聞いています。陽介くんのお父様ですよね」

「ナナ?……っていうのは凜ちゃんのことか?」

「あ、はい」


ちょっと…香留ったら…

いきなり陽介くんの名前出したら、おじさん不思議がるでしょ…


私のことだってあだ名で呼んじゃってさ…


「可愛いあだ名だね、凜ちゃん。…それより香留さん、陽介とは知り合いなのかね」


ほら…

おじさんが食いついた…

コンパで知り合ったなんて言えないでしょ…



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