億万色Love



「はい、これね。あと、これも」


「あ、すいません」


おじさんは何冊かの本とジュースを持ってきてくれた

「凜ちゃんはA大でも、外国語を学んでたんだよな?」


「はい。英語専門でしたけど」


「だと思って学部は外国語学部にしといたから。その中でも英語とドイツ語専門ね」


「あ、はい!分かりました。ありがとうございます」


よかった…

私は中学の時から英語だけは得意で、A大でもそれを活かしてた


どの学部なのか不安だったけど、これならなんとか大丈夫そうだね

貰ったばかりの教科書を開いてみると、レベルは高くなってるけど、理解できそうだった


横で香留はニコニコしながら、私が持つものを眺めていた


「どうしたの香留。ニヤニヤしちゃって」

「ん?あぁ‥やっぱり羨ましいなぁって思って。その本もあの本も私には持つことのできない物じゃん?なんか‥ナナが一気に遠くなっていく気がする‥」

「………」


笑ってるけど、どこか暗い表情

そんな私たちの様子を見てか、おじさんはそっと口を開いた



「香留さん、凜ちゃんとは付き合い長いの?」


「はい♪高校で知り合って、入学式で隣同士、意気投合しちゃって。それ以来、ずっと仲良しなんです。」


「そうか。なら明日から違う大学になるのは辛いことだよな‥」


「…‥そうですけど、でも仕方ないんで」


香留はまた笑って答えた





.
< 44 / 179 >

この作品をシェア

pagetop