億万色Love



それにしても…

「……なんで…いないの……?」

広い敷地を何周も、高い校舎を何往復も……

この封筒一つのせいで、私の体力はもはや限界を尽きていた


もう…おじさん会議終わってるんじゃ?

ていうか、ここまで探していないんじゃ、陽介くん帰ってるんじゃないの…?


そう諦めかけた時だった…ー


「邪魔だ」


教室の入口で立っていた私の後ろから、聞き覚えのある声がした


「……いた!!」

振り返り、その姿を見て私は叫んだ


「……なんだよ、うるせぇな」

「どこにいたのよ!ずっと探してたんだから!」

「は?俺がどこにいようが、お前には関係ないだろ。いいからどけよ」


今は5教室の入口の前


陽介くんの教室だ


んでもって、私に睨みをきかす探してた人


陽介くん。


「はい、これ。」

「………」


差し出した封筒を見て、黙り込む陽介くん

「早く受けとってよ。これ渡すために長いこと探してたんだからね。まったく……なにしてたのよ。もう帰ったのかと思って、これ置いて帰ろうとしたとこなんだ」


「………」

「ねぇ、……聞いてる?」

「……ん?あぁサンキュ」

「………?」


封筒を受けとった陽介くんは教室に入って、すぐ出てきて帰っていった

なんで………

黙ってたの…?

封筒を見た瞬間に表情が変わった

しかも


"サンキュ"

って………言った?


なんなの

どうしたのよ一体




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