億万色Love
初めて見た、陽介くんの表情
きっと、あの封筒に何かあるんだ…
探し疲れた足を叩きながら、校門までの道を一人で歩いていると、陽介くんがベンチに座っているのが見えた
なんか……
声掛けづらいな…
そして私は無言で陽介くんの横に座った
もちろん
「なんだよ」
って、睨まれたけど。
「それ、なに?」
直球で聞いてみた
でも、返事は大体分かるよ…
"なんで言わなきゃいけないの?"
とか
"お前には関係ない"
だと思う。
「……成績表」
でも、返事はまともだった
そのことにビックリしたけど、話を進めた
「成績表?…テストかなにかの?」
「テストか…。まぁ…みたいなもん。これ、親父に頼まれたろ」
「うん。至急渡してくれって頼まれたの」
「ふーん。そっか……」
………なんか違う……
封筒を見つめる陽介くんは、いつもとは違って
どこか寂しそうに見えた
「みたいなもんって、なに?」
「……言わない」
「………」
そこは言わないんだ……
でもそれ以上は聞かなかった
………聞けなかった。
今までの私たちは、会話というものがなかった
言い合いばっかりで
きっとお互いに、嫌い合っている
そう思った。
でも今
こうして二人座って、話ができたこと
なんだろ………
この空間は
別に………嫌いじゃない
.