億万色Love



「引っ越し!?」



"まさか"は的中した


トラックには【引っ越しセンター】って書いてあったし


一つにまとめられた荷物を見れば誰だって分かるよ


今いる場所も、今日の昼前まではちゃんとリビングだったのに


なにもなくなってる



テーブルもソファーもテレビもないリビングで家族四人はただいま会談中


「なんでこんな急なの?なにがあったの?」


「凜、父さんね‥」

「母さん、わしが言うよ」



なんだか深刻そうな雰囲気に私の気持ちはますます不安になった


弟の連(れん)は教材なんか読んじゃってるし、この現状を分かってないのかな‥


七元 連
(ななもと れん)

地元の高校に通う一年生


私より数倍賢くて、大学はあのS大を狙っているらしい


天才って意外と単純なことにはバカなんだよね


父さんが静かに話し出した


「父さんな、会社をクビになったんだ」


「え…」


「今の不景気にリストラされるのは不思議じゃないことだ。仕方がなかったんだ」


「リストラ…‥」


じゃぁ引っ越しも残りの家のローンが払えないから出て行かなきゃいけなくなったってこと…?


…‥ホームレス…生活


うそぉ‥


こんな沢山な荷物、公園に持って行ったら目立つだけだよ…


…でも仕方ないんだよね‥


「だか、心配はするな。知り合いがたまたまこのことを知って、仕事と住む場所を提供してくれるって言ってくれたんだ。情けない話だが、お前らの為にも意地なんて張ってられないだろ?だから少しの間だけ甘えさせてもらうことにしたんだ。」



「………ん?」



どういうこと…?



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