七狐幻想奇譚
青白い炎が手の平から、ぼっと灯る。


これが手品であれば種があるのだろうが、狐面の少年がそうであるのは、現実的に考えにくい。それに――夏野の言動が、真実味をおびているではないか。




“狐面の少年は人間じゃない”



本音を言えば怖い。でも、夏野が守ってくれる。それが唯一の、安心感だった。



でも何か引っ掛かる――……



次の瞬間、酷い頭痛に襲われ冷たい土の上に崩れ落ちた。



「桃花!!!」



どうして、名前……。



「桃花、大丈夫か!?」



桃花はズキズキ痛む頭を押さえながら、しゃがみ込み焦ったように、名前を呼ぶ夏野に驚く。



どうして……そんなに心配してくれるの?



動揺する夏野に、大丈夫だと言いたくても痛みで、言葉にならない。



「一種の呪いだよ。思い出せないように、はじめからなってる。――ねえ夏野。もっと、遊ぼう?ようやく巡ってきた夏なんだから」

「…………冗談いえ。今年の夏で、終わらせるに決まってるだろ」



夏野は心の中で舌打ちをした。



この状況を打開する手段など、今は持ち合わせていない。絶体絶命とまではいかないが、さすがにまずい。



そんな時だった。



< 37 / 37 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:4

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

魔王様と暁の姫
椿灯夏/著

総文字数/4,213

ファンタジー9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
すべての始まりはたったひとつの願いだった。 “大切な人を失いたくない” 「例え偽りの記憶でも構わない。自分にとって、本物なら」 始まりは雨。 「探したよ“魔王様”」 ーー例えどんなに酷い物語(結末)だとしても。 姫のために紡ぐ(生きる)と決めたんだ。もう、何からも俺は逃げたりしない。 これは明けない世界で紡ぐ夜明けの物語。 (更新お知らせ) 雨空の出会いまでが更新 こちらの魔王様の物語は旧作品としてさせていただきたいと思います。こちらも更新しつつ、新の方にはプラスがつきます。
花の海駅より君に描く、“約束の花”が咲いたとき
椿灯夏/著

総文字数/5,215

恋愛(純愛)12ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夜明け前――花の海駅で“花”と出会った。 りんご飴のように紅い瞳をした少年。 スケッチブックに描く、花。 泡沫の夏に咲く、淡い出会い。
鳥籠の死神
椿灯夏/著

総文字数/3,601

絵本・童話21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ただ生きているだけなのだ。 ただ、生きたいだけ―― 愚かな人間とただひっそりと生きたいだけの死神。 「世界は人間だけの世界ではない」 レビュー、感想ありがとうございました 希乃己様 お稲荷様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop