ラスト プリンス


「お前さ、大人なんだか子供なんだか分かんねぇ」

 目を細めて眼鏡の奥からあたしの瞳を捕らえて、離さない。

 負けたくない、ただその思いから、

「あたしのことなんて、分からなくていいのよ」

 あまり唇を動かさずに放った言葉は、跳ね返ってあたしの心にぐさりと刺さった。

 別にいいのよ、慣れてるから。

 着物を着た時、しゃきっとしてればいいの。

 嫌いなの。 家柄も何となく良くて、地味でいい子のままでいるのが。

 そんなあたしなんて、隠したいのよ。どうしても。
 だから、だから。 自分にたくさんの色を重ねて隠す。ただそれだけ。

「ふーん。強がってやんの。バカだろ」

「うっさいわね」

 トンと耕太の両肩を押して体を離し、長机からぴょんと飛び降りた。

 振り返って耕太を見れば、ポケットに手を突っ込んで、長机に軽く腰かけている。

 一歩一歩、耕太に近づき下から見上げ、ふっと笑ってみせてから、ぺちんと再び耕太の両頬を掴み引き寄せ額をくっつけた。

「あんただって強がってるじゃない」

 じっと感情の汲み取れない瞳を眼鏡越しに覗く。


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